●離婚の際の財産分与
財産分与とは婚姻中に夫婦が協力して取得した財産を離婚する際、または離婚後に分ける事をいいます。
また、離婚後に生活力の低いものへの扶養料の支払の意味もあります。
慰謝料とは異なり、離婚の責任がどちらにあるかは問いません。離婚の原因を作った者からの請求もできます。
財産分与の割合は、財産の取得や維持に対する夫婦双方の貢献度の度合いによって決まります。
話し合いの時はまず、2分の1ずつ分けるという所からスタートして、話し合いによりそれぞれの貢献度によって割合を変えていきます。専業主婦の場合、個別のケースにもよりますが、通常4〜5割ほどが貢献度とされるようです。
家やマンションなど名義人が夫である場合でも、夫婦双方がその財産の取得や維持に寄与している場合には財産分与の対象になります。妻としては、不動産が夫名義であっても、あきらめる必要はありません。しっかりと権利を主張しましょう。
●財産分与の対象となる財産
・預貯金
結婚中に貯めたお金は財産分与の対象になります。結婚前にお互いが持っていた預貯金は対象外です。
・不動産
結婚してから買った家やマンションは夫名義であっても財産分与の対象になります。
・株、国債などの有価証券
これらも預貯金と同様の扱いになります。
・退職金
既に支払われた退職金や支払われる事が確定している退職金は財産分与の対象になります。
・その他、高額な家財道具など
日用品などは、価格が低いので基本的に財産分与に加えませんが、高価な家具やアクセサリーなどは対象になります。
●夫の厚生年金の一部分割
昔の年金制度(2005年現在)では、専業主婦が離婚した場合、老後の年金額が少ないという問題があります。長年、会社に勤めた夫の老後には厚生年金と基礎年金が支払われますが、専業主婦であった妻には基礎年金しか支払われません(現在の所、満額で月に6万6000円程度)。
しかし、年金改革により、2007年4月以降に成立した離婚については、最大で婚姻期間中の厚生年金の半分を受け取る事ができるようになります。
また、2008年4月以降に妻が専業主婦(国民年金の第三号被保険者)だった期間分の年金については、妻の取り分は自動的に2分の一と決まります。
この年金改革により専業主婦であった妻が離婚後に厚生年金の一部を受け取る事ができるようになる為、2007年4月以降、熟年離婚が増えるのでは?といわれました。
●財産分与の対象とならない財産
・結婚前から持っていたもの
それぞれが結婚前に持っていたものは財産分与の対象になりません。
・一方が経営する会社
どちらか一方が経営する会社は、基本的に財産分与の対象外です。ただし、お互いが持っている会社の株は財産分与の対象になります。また、会社設立時に出資金を負担している場合はその分が財産分与の対象になります。
・相手方の借金
配偶者名義の借金はもう一方には関係ありません。でも、保証人になっている場合は離婚しても保証人としての立場は変わりません。